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ファミコンゲーム開発の世界へようこそ - 札場哲の絵描き回顧録 第4回 –

東京に引っ越してすぐに、チュンソフトの開発に参加することに。
コンピューターがまだまだ一般的に使われていない時代で、僕も初めて体験することばかりでした。
コンピューターゲームもあまり数が出ていない時代だったのです。
期待と不安の中、ゲームがどんな過程を経て完成されて行くのかワクワクドキドキしたことを今でも思い出します。

チームワークとプレイヤーへの想いが良い作品へ

当時チュンソフトは7、8人で、ちょうど『ドラゴンクエストⅢ』の開発の真っ最中でした。
狭いマンションの一室で肩を寄せ合って、コツコツと制作を進める毎日。
メンバー全員が素晴らしい才能にあふれ、みんな日本と世界のゲームの未来を見据えていました。
それぞれが単なる開発者というより、想像力を発揮し、それを形にすることのできる職人だと感じました。

開発会議は、チュンソフトメンバー以外の今では有名人となった人たちと一緒に「あーでもない、こーでもない」と毎週話していました。

そんな中、『ドラゴンクエストⅢ』のマップ絵を水彩画で描いてほしいと頼まれ、世界観のイメージをヒアリングしつつワールドマップを仕上げていきました。
それと並行して、コンピューターグラフィックのドット絵の練習。
教科書なんて何もなく、手探りかつ周りの技術を盗むことでレベルアップしていきました。

ワールドマップの方は大体1ヶ月ぐらいで完成したけれど、開発会議でさらにさまざまな意見が。
「イメージは問題ないんだけど、ワールドマップ上に浮いている雲はいらなくないか?」水彩画なので、またイチから描き直し…。
まあ僕にとって、最初から描き直すことはなんでもないので、早々に作業を始めました。

今までに描き直しや修正を嫌がって文句を言い出す人も沢山見てきました。
でも、世に出すコンテンツをつくっているんだから、プロである以上は意見を聞いて描き直したり、修正することは当たり前じゃないかな。
それを嫌がっていたら、絵を職業にしない方がいいんじゃないかとすら思う。

また、「自分がデザインして描くのだから最初から最後まで一人で」という考え方も間違っている。
コンテンツに関わる人の意見などもしっかりと聞き、話し合い、完成までチームワークで乗り切って行く過程が最も大切。
この過程が良ければ、おのずと素晴らしい結果へとつながるものなのです。
絵だけではなく、映画やドラマなども同じだよね!!

このチームワークの良さと妥協しない信念、プレイする人への想いが良い作品を生む。
チュンソフトで開発していて、それがよく分かりました。
今でもこの考え方は変わっていませんし、このことはとても大切なのです。

ドットで学んだ配色の重要性

ドット絵の方も練習を重ね、徐々に理解できてきました。
このドットを知ることは、コンピューターグラフィックを理解することにつながります。
だって、デジカメで撮った写真でも拡大するとドットでしょ!
ドットで描ければ、デジタルの写真だって正確に修正できるようになるんです。

ファミコンでドット絵を描く場合、まずRGBの色から設定していきます。
ピョコピョコ動いているキャラはオブジェクトと言われ、キャラ1体に使用できる色数は4色、その内1色は透明色です。
ということは、残り3色でキャラを描くんです。
アウトラインに黒を使って、残り2色でキャラを仕上げるなんてありえません。
1色がとても重要なのです。

また、背景1パーツ16×16ピクセルに使う色数も同様で、その上に重なるキャラの色と混じりあわないような色の選定が大切。
あと、テレビに表示された時にハレーションを起こしたり、目が疲れたりしないように、気をつけて色を決めていきます。
難しいく複雑なので、ここでは書きませんが、色相・彩度・明度にも大きく関わることなんだよ!

色を決めることが一番難しい。
フルカラーで描く今の絵でも、その大切さは変わらない。
みんなちゃんと数値で配色を決めてるかな?

ドットを打つ事については、直線、角度、カーブなどのルールが分かれば、あとはその応用。
ただし、紙上で絵が描けて、白い背景上にイメージできなければドットで描いていくことは難しいかもしれないね。

こうやって少ない色数で分かりやすくアニメーションやシーンを作っていき、プレイする人がキャラとストーリーを想像させながらプレイしていく、これがRPGゲームの始まりだった。
今のゲームはイメージをプレイヤーに与え過ぎていると僕は感じているんだよね。

ついにドラゴンクエストⅢが完成!

とても長い道のりを経て、ゲームがようやく完成しました。
みんなお疲れ様でした。

このゲームが発売した当時、ニュースなどにも取り上げられるぐらいの社会現象が起きました。
リアルタイムで体感した人もいるんじゃないかな。
さすがにつくっているときは、こんなことになるなんて思ってもいなかったなぁ~。
良い作品に参加できたんだなと感謝しました。

完成後は、みんな少しの休養期間。
そして、次なるゲーム(作品)への準備が始まるのでした…。

★今回はココまで、次回ファミコンゲーム編パート2をお楽しみに! bye bye!