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日本に居ては絶対に学べない事が山ほど!! - 札場哲の絵描き回顧録 第2回 –

当時1977年頃、まだヒッピーの流れがそのまま残った村があり、世界中からアーティストたちが集まってくるアメリカのハワイ州へ。
ドキドキ、ワクワクした僕の青春時代がここにはあるんだ。
今でもハワイへ帰りたい(笑)。
そこで絵を描いて老後を過ごしたい!

自分の原点、ハワイの地へ

日本から観光で休暇を過ごす人たちは、ワイキキやアラモアナがハワイって思っているでしょ!
でも、それだけがハワイじゃないんだよね。
世界的なリゾートとして名高いこの地、本当は知られざるアートの島でもあったんだ。

有名なアーティストも住んでいて、そこからデザイン・構図・色彩感覚・描き方などを多くのことを学べた。
特にイメージ(想像力)の考え方や、組み立て方、それを絵やデザインに表現する力など、レベルの違いを思い知らされたんだよね。
よくこの絵は古臭いとか言う人もいるけど、絵やデザインに新しいも古いも無いんじゃないかな。
今思うと、現在の広告デザインより、この頃のデザインの方が斬新で新鮮な印象さえ受ける。
コンピューターを使わないアナログは、繊細で丁寧に制作されているからかな。
デッサンから完成までの工程も全然違うしね。

それと、アメリカ人はそれぞれ好き嫌いがハッキリしていて、アートを知らない人でも絵を見て自分の意見をしっかり話すことができる。
それが普通な国なんだよね。
だからこそ、自分のさまざまな面に気づかされた。
身近にいろんな指摘をしてくれる人がいるってことは、昔でも今でも大事だよね。

それに英語に関しては、最初は何を言っているのかチンプンカンプンでまったく理解不能!
でもここで暮らす以上、食べて生きていかなくてはならない。
そこで、赤ちゃんが言葉を覚えていくように、言葉のセンテンスと発音を何度も練習して、「こう言ってきたら、こう答える」という流れで徐々に会話ができるようになっていった。
日本で勉強する文法なんて、考えて話したことなんてなかったなぁ~。
間違いだらけの英語だったかも!
それでいいんだよ、赤ちゃんだって話すと間違いだらけでしょ。
映画でかっこいい言い回し方があれば、それを使ったり、流行りの言葉も入れてみたりと色々トライしてみたよ。
言葉ってこうやって覚えていくのだなって思ったな。

余談だけど、今の嫁さんともここで出会って、このときから一緒に歩んでいくことになる。
18歳くらいから一緒に住んでいたんだよね。

札場が大きく影響されたアーティスト達

僕がこの地で大きく影響されたアーティストたちを紹介!
とにかく、この人たちのセンスや技術をコピーしまくったね。
デザイン感覚や表現力はハンパないから、皆さんも紹介するアーティスト名を検索してみてね。
知っておくべきアーティストだと思うよ!!

Norman Rockwell [ノーマン・ロックウェル]
僕がアメリカで最も影響を受けたアーティストです。
構図・デザイン・色彩・タッチ、何をとっても素晴らしいです。
僕にとって、とても大切なアーティストのひとりです。
でもね、僕が一番RespectするNorman Rockwellを超えるアーティストがいます!
それは誰かって…、次回話すことになるからそれまで待っていてね。

Bill Walker artist grateful dead [ビル・ウォーカー]
レコードジャケットなどのデザイン&イラストを手掛けるアーティスト。
色彩とデザインが凄く、一見ビビッドな色使いに見えるが、しっかりと伝統色を使っている。
魚眼レンズを通して見た構図や、文字のレタリングセンスも素晴らしい!

Andy Warhol [アンディ・ウォーホル]
アメリカを代表する画家・版画家・芸術家で『キャンベルスープ缶』や『マリリン・モンロー』のポップアートは素晴らしい。
デザイン、レイアウト、色彩感覚など勉強するところは山ほどある!

Keith Haring [キース・ヘリング]
独特な感覚を持ったアーティストで、Tシャツなどデザインは抜群!
レイアウトと線の太さの強弱はとても勉強になるね。
キース・ヘリングのアートを真似る人も多くいたんじゃないかな。

Edward Hopper [エドワード・ホッパー]
細かく描き込まないシンプルなタッチと色使いで、細かな情景を描くアーティスト。
その風景から、気温と匂いまで連想させる表現力は凄いの一言。

Jack Davis[ジャック・デイヴィス]
雑誌の表紙などのイラストは、アメリカ的でコミカルな表現力が素晴らしい。
頭身の取り方・ポーズ・構図は必見。

“スパイラル”を取り入れて格段にデッサンが上達

アーティストの絵を勉強するのと平行に、風景を描く練習も欠かさずやっていた。
デッサンは日本で描いていた頃と変わらずで、満足できる物がなかなかできず、苦心する毎日…。

そんな日々が続く中、大きなベンジャミンの木を観察しながら育つ状況を想像していたらスパイラル(渦巻)を描きながら上へ伸びて行く様子が頭に浮かんだんだ。
そうか…、裏側も描けばいいのか!!
ベースのデッサンに裏側の厚みや凹凸をスパイラルで描き、仕上げに正確な実線を取っていく描き方を何度も練習した。
すると、今までとは全然違う完成度の高いデッサンが仕上がったんだ。
気になっていた微妙なパースも、どんどん解決していったな。

今まで立体感を出すために陰影をつけていたんだけど、スパイラルを取り入れたデッサンで描けば、実線の強弱だけでも立体を表現できるようになっていった。
裏側の厚みまで描くという事は、今で言うところの3Dと同じかな…、いや、コンピューター上に描く3Dとは少し違いがあるかも。
自分が実際に見ている状態と違い、モニター上に3Dで表現された景色は、映画を見ている状態と同じ。

僕からすれば、平面的で遠近法に従って正確過ぎるんだよね。
たとえば、ゲームで3Dの景色の中を長時間歩き回ってプレイしていると目が凄く疲れるよね!
でも、現実の景色の中を歩き回っていてもそんな事はないんじゃないかな。
目を通して見ている景色には、歪み・ブレ・眼球に沿ったカーブなどが混在した状態に空気感が加わり、それらがあるからこそ自然で楽に見ていられるんだ。
デッサンする際、できる限りこの要素を考えて入れていくようにしている。
何か普通のデッサンとは違って変なことを言っているなーって思うかもしれないけれど、今でもこの描き方は変わっていない。
この他にも波や炎、空気による遠近感などもよく観察していた。
実はこれらもスパイラルなんだ。
絵を勉強すること、描くことって終わりがないよね。

一番影響を受けRespectするアーティストが日本にいた!!!

そんな勉強中のある日、ふとBook Storeで絵の本を立ち読みしていて、衝撃を受ける出来事が。
……日本にはもっと凄いアーティストがいるじゃないか!
その構図・デザイン・色彩感覚は、イメージしたこともない完成度と緻密さだった。

「原画を見てみたい」。

このアーティストの絵を勉強する必要があると感じたんだ。
ハワイに来てから5年経った今、アメリカで学ぶことはほとんどなくなったと感じてきた頃だった。
大切な友だちもいるこの地と離れるのは名残惜しいけど、嫁と一緒に日本へ帰る決断をした。
そこからは日本でどんな仕事について、どうやって学べばいいのかをしっかりと計画をたててから帰国したのでした。

★今回はココまで、次回デザイン会社編をお楽しみに!  bye bye!