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FEATURE

イロドリ

鮮やかに、そしてシンプルに ryotaインタビュー

イロドリ -イラストレーション業界の先駆者たち-

若手イラストレーターといえば誰を想像するだろうか。iLLab.編集部がイチオシするのが、このryota氏だ。ゲームタイトルに適したタッチで描くことができる技量はもちろんのこと、特筆すべきはそのオリジナルイラストの精度の高さ。技法としては厚塗りを使いつつ、単色をベースとした独特の色使いでしつこさを全く感じない。見るものを惹き込む透明感と愛らしい表情は、「ryotaの絵」という世界観を確立しつつある。

女の子の魅力は「手」でみせる

――何度かお仕事をお願いしていますが、こうしてしっかりとお話を聞かせていただくのは初めてですね。

ryota:
そうですね、なにぶん都内住みでないもので…。

――そして、かなりお若いということにびっくりです。デッサンもしっかりしていて、何よりも一目見て「あ、ryotaさんの絵だ」とわかるので、経験も豊富なのかと思っていました。

ryota:
ありがとうございます。今のようにフリーランスのイラストレーターとして活動し始めたのも、実は2年ほど前なんですよ。

――そうなんですね。それ以前は学校に通ったりしていたんでしょうか。

ryota:
専門に2年間通って、そのあとに一度ゲーム会社に就職しています。1年ほどで辞めちゃったんですが。

――では、そのころに今の画風が確立されたんですかね。塗りも特徴的ではありますが、女の子のリアルな仕草を表現した構図がとても魅力的ですよね。

ryota:
キャラクターの設定をつくりこむのが好きなんですよね。その設定を視覚で表現するための手段として、デザインをしっかり考えます。そして、キャラクターの魅力を表現できるようなポージングと画面づくり。まあ皆さんやっていることかとは思いますが。今の画風は、最近かもしれません。

――この絵なんて、社内でも「カワイイ!」と評判だったんですが、同様につくっていったんでしょうか。

ryota:
そうですね。この絵の場合は、まず「本とタロットを描きたい」というところから始まっています。それらとのギャップを出すために、キャラは少し頭の弱そうな感じで。
タロットだったら、運命を司る神様的な感じかなぁとか考えてデザインが現在のものになって。あとは本とタロットを際立たせるために、色使いにも気をつけていますね。あえて青一色をベースにして、本とタロットに目が行くようにしています。

――あと、完全に僕の趣味ですが、表情がツボなんですよね。特に、ryotaさんのオリジナルイラストに共通しているこの目。

ryota:
これは自分の中での流行りなんですよ(笑)。丸くてくりっとした目が最近カワイイ。昔はもっといわゆる縦長で楕円形の目だったんですけどね。
だから、昔つくった仕事用のキャラクターを、今描きなおすことってあるじゃないですか。たとえば期間限定のイベントキャラみたいな形で。それをつい現在の感じで描いちゃうと、「ダメです!」って言われちゃったり。

――表情もツボなんですが、ryotaさんの作品っていろんなイラストの中で目立つと思っているんです。コテコテの厚塗りかアニメ塗りが多い中で、シンプルなようで深みがあるというか。

ryota:
たぶん、昔の上司から言われたことが原因ですかね。「ryotaくんの絵は質感が足りない」って言われたんです。だから質感の出し方ということが、僕の永遠の課題として残っちゃっているんですよね。

――なんというか、デフォルメと描き込みのバランスが独特だと感じます。キャラクター自体はデフォルメ色が強いんですが、肌や髪はもちろん、たとえば革の小物ならしっかり革の質感でという。

ryota:
あとは万人受けするように心がけていますね。エロさも一線を引かないと不快に感じる人もいますし、僕もエロを意識しすぎるのはそんなに好きじゃないので。

――わかります、なんか。ryotaさんの絵って、エロいというよりドキッとする感じがするんですよね。たぶん表情や仕草のせいなのかも。

ryota:
一番こだわっているのは、手なんです。なんなら表情とかより。手の角度や指の動きの一つひとつで、リアルな女の子が表現できるんじゃないかと思っています。指一本の反り方だけで、キャラクターの魅力って表現できるんですよ。キャラクターデザインの方が表現しないようなことを、手を通して表現するということが僕のこだわりで、見せ場なんじゃないかって。
それに、手フェチの人もいますし、手をどうしてもこだわりたい僕と、win-winですよ(笑)。

リアルをデザインとして作品に落とし込む

――先ほど、画風が初期とは変わっているというお話がありましたが、影響を受けている人、尊敬している人はいるのでしょうか。

ryota:
影響を受け、そして尊敬している方は、 以前勤めていたゲーム会社の直属の上司ですね。
その方の作品は、都度ネットでチェックして刺激を受けています。

――先ほどお話していただいた方ですね。身近に参考になる人がいるというのは羨ましいです。その方はどんなところがすごいんですか。

ryota:
全部ですね。今のところ、構図もキャラクターの表情もすべて敵わないと思っています。構図や表情、質感だけでエロさが出るんですよ。それこそ、R指定が入るくらいに(笑)。
もともと僕は、エロさを感じるような絵を描きたいという願望はなかったんです。でもその人のせいで、だいぶ方向性が変わりましたね。

――ではryotaさんのキャラクターの肉感というか、肌の質感なんかも、その方の影響が濃いわけでしょうか。

ryota:
大いにあるとおもいますね。やっぱりそこらへんは自分でも譲れない部分だと思っていて、少しの衣服の食い込みであってもプニプニ感を出すことには余念がないというか。

――その質感を出すにあたって、コツというか気をつけていることはあるんでしょうか。

ryota:
たとえば、このイラストなんかもそうなんですが。

ryota:
塗り方だったり、影の入れ加減はとても気を遣っていますね。影を強く落とすと硬い印象になったり、その逆も然りですよね。
影って、そのキャラクター全体の印象を左右するんです。たとえば、ダークなキャラクターであれば下から光を当てたりとか。キャラクターを魅せるために必須なので、僕の場合は設定の時点で光と影の演出は決めていますね。

――ちなみに、色使いについてもその上司の方の影響はあるんですか。僕がryotaさんの絵を好きだというポイントのひとつが色使いなんです。ひとつの色のグラデーションで構成されていることが多いので、画面がガチャガチャせずに統一感があって。

ryota:
その上司とは塗りに関しては全然違って、これは僕の好みですかね。なんというか、ゲームで登場するキャラクターって奇抜じゃないですか。だから、シンプルにすると差がつくんじゃないかと考えています。
もちろん、仕事のときは仕事用の配色にしていますけどね。

――やはり仕事のときは、派手さを求められることが多いですか。

ryota:
そのキャラクターの特性もありますからね。理想的な形で描けているかというとそうではないですが、「これがryotaの画風なんだ」という風にオファーしてもらえるにはまだまだなので。

――ちなみに、好きなものや趣味だったり何かデザインするうえでのバックボーンはあるんですか。

ryota:
それよく言われるんですけど、あまりないんですよね。アイドルにもゲームにもアニメにも、そんなに興味があるわけではなくて。人並みの知識はあるとは思っているんですが。

――いや、ryotaさんの衣装デザインって、よくできているなぁと思って。

ryota:
あぁ、それでいうと服とかは好きですね。あと、ファッションでもなんでもですが、何かを絵的に見るのが好きというか。たとえば、そのアニメ自体に興味はなくても、それを絵的に参考にするとかはよくあります。
どうにかして、自分のデザインに落とし込めないかと考えたり。

――なんかわかる気がします、いろんなものを作品というよりデザインとしてとらえているから、万人受けするような絵につながっているのかも。

ryota:
そうだと嬉しいですけどね。ちなみに、女性のファッションについては、普段から仲良くさせてもらっている女友だちからインスピレーションを受けていることが多いですね。

――妙に服やアクセサリーにリアリティがあるんですよね。こういったイラストだと、「架空の衣装」みたいなことが多くなってしまうと思うのですが。

ryota:
女性のネイルやアクセサリーといった、細部の描き込みにはこだわっていますね。そこが僕の作品の個性のひとつだと考えています。
自分の作品の個性ってなんだろうと考えていた時に、見つけ出させてくれたのがその友人だといっても過言ではないと思います。
おそらく、自分の作品にリアリティがあると感じていただけるのは、リアルのものをデザインの中に落とし込むことが多いからではないでしょうか。

クライアントも自分も納得できるラインに

――これからの活動について、少しお話しいただければと。
まずは、イラスト自体についてですが、どんなものを描いていきたいというものはあるんでしょうか。

ryota:
やはり、絵を描いている以上、さまざまな人たちに見てもらいたいですね。その見てくれた人たちが、「二次創作したい!」であったり「ゲームに登場したら課金してでも手に入れたい!」と感じてくれるようなキャラクターになるように、キャッチ―で斬新なデザインのものを描ければと思っています。

――イラストの内容としてはどのようなものを?

ryota:
オリジナルのイラストでは、メカや和風なテイストにも挑戦したいですね。自分としてもとても好きなジャンルなので。
仕事だったら、本の装丁イラストはやってみたいですね。今までは、ゲームなどのデジタル媒体が多いので、また違う楽しみ方があるのではないかと思います。

――装丁イラスト、いいですね! 個人的にはゲームタイトルの、メインキャラデザインをryotaさんオリジナルのタッチで見てみたいという気持ちもあります。

ryota:
それは、もちろんやってみたいですけどね(笑)。そのためには、目の前のお仕事をひとつずつ、です。

――そのお仕事をやっていく中で、気をつけていることというか、どんな姿勢で取り組んでいるのかを教えてもらってよいでしょうか。

ryota:
正直、たいそうなことではないんですが…。やっぱり、フリーランスでやっていると、時間の使い方とそこで発揮できるクオリティが大事になってきますね。
どんな仕事でも、時間には限りがあるじゃないですか。その時間内に、クライアントともちろん僕自身も納得できるようなクオリティで仕上げなければいけない。

――〆切という約束を守ることが大事?

ryota:
あ~…そこについてはノーコメントです(笑)。
ただ、ギリギリのラインまでクオリティを高めることに注力しても、どうしても自分自身では納得しきれないこともあるんです。でも、自分の中で一定のクオリティラインを設けて、言い方は悪いですがときには妥協することもフリーランスでやっていくうえでは大切だと思います。

――なにか小骨が引っかかったような言い方ががちょっと気になりますが(笑)。でも妥協が必要というのはよくわかります。もちろん出して恥ずかしくないものには仕上げますが、よいモノをと思うと限りがない場合もありますからね。
僕自身は、ディレクターだったり編集者だったりするので、やはり泣く泣く諦めるということもあります。

ryota:
そこらへんのバランスについては正解があるわけではないので、常に意識しておかないと、とは思っていますね。

――僕らとしても、作家さんにそういった姿勢でいてもらえると助かりますね。
本日はお忙しい中、ありがとうございました。ちょっとだけryotaさんのことがわかった気がします。
またお仕事のほうでもよろしくお願いします。

ryota:
こちらこそお願いします。あ、本の装丁もあればぜひ(笑)。

――その際にはもちろんです!

ryota

専門学校を経て、ゲーム会社にて勤務。その後、フリーランスのイラストレーター、専門学校の講師としても活動する。フリーランスとしての歴は短いながら、その確かな技術には定評があり、透明感のある独特のタッチにはファンも多い。
美雲このは2ndシングルCD『Docking☆Heart』ジャケットイラスト/美雲このは3ndシングルCD『空色Drops』ジャケットイラスト/梅宮さん2ndシングルCD『Don’t Stop, I’m Coming』ジャケットイラスト/『彼女図鑑 ガールズアートイラストレーターファイル』 (ソーテック社)イラスト など多数の作品を手掛けている
Twitter:@ry_o_ta_