ディレクターは伝えてもらうのではなく引き出すべし。

クライアントの要望がぼんやりしてる…。それを何とかするのが僕らの仕事です。
雨が降るとバイクに乗れないので、会社にいきたくなくて仕方ないあびーんです。
ちょっと前までロゴ制作の引き合いが多かったので、その時に感じたことをお題にしてみようかと思います。
ちなみに僕の役割はディレクター。
なので、その視点からになりますのであしからず。
要望は具現化されていないのが当たり前。
意気揚々と打ち合わせに行ったものの、クライアント側で「どんなものを作ってほしい」という要望が一切なくて困った。
よくあることですよね。
もちろん、具体的な要望をもらったほうが、制作の際に楽なのは間違いありません。
それこそ、要望を資料にしてまとめてくれるような、ありがたいクライアントもいます。
しかし、大前提としてクライアントは制作については知識がないことが多いです。
決してバカにしているわけではなく、玄人である必要がないのです。
そもそもクライアントがなんでもできちゃったら、僕らが必要ないですよね。
そして知識がない場合は、僕たちが必要な情報を言語化するということは難しいのです。 そこでこちらの役割となるのが、「ヒアリング」と「提案」です。
3つのことをヒアリングできれば方向性はつかめる。
まず先にやっておきたいのが「ヒアリング」。
この時点ではっきりさせておきたいのが以下の3つです。
- ターゲット(ペルソナ設定まで)
- 目的
- サービスのベネフィット、メリット
- キーカラーなど
ターゲットや目的は言わずもがなですが、ここで引っかかるのがベネフィット。
横文字って本当に面倒ですよね。
ベネフィットとは、「サービスなどを利用してユーザーが享受することができる利益」のことです。
すると「メリットとどう違うの?」という疑問が浮かび上がりますが、似て非なるものなのです。
ベネフィットが「利益」であることに対し、メリットは「利点」。
例えばサンバードにお仕事を依頼してもらうときの、ベネフィットとメリットは以下のようになります。
【メリット】
- 高いクオリティ
- 早いレスポンス
などなど
【ベネフィット】
- 商品が売れる
- 担当者の負担が減る
などなど
つまりベネフィットとは、メリットを受け取った結果。
したがってゲームタイトルだった場合のベネフィットは、
- (かわいいイラストで)収集欲を満たすことができる
- (革新的な戦闘システムで)隙間時間に楽しめる
- (シンプルなUIで)ストレスなく操作できる
- (深みのあるストーリーで)長く楽しめる
というようになってくるわけです。
ここを掘り下げると、他サービスと差別化すべき点も浮き彫りになってきます。
根気よく引き出したベネフィットこそ、コピーやデザインに落とし込んでいくべき部分になってきます。
また、キーカラーの部分が()になっていますが、こちらも決定していない場合もままあります。
が、他の項目や世界観をヒアリングできれば、こちらから提案できるのではないでしょうか。

大枠の提案は打ち合わせの場で済ませてしまおう。
ヒアリングができたら、提案のフェーズです。
もちろんヒアリングしたばかりで資料は整っていませんが、その場で何かしらの提案はしたほうがいいのではと考えています。
後日提出する場合、クライアントも熱が冷めてしまっているだろうし、心変わりをしてしまうかもしれません。
その場で提案するからこそ、同じ熱量でブレストもできるのです。
それに、提案資料をメールで送った場合、どうしても伝わらない点があったりします。
いくら電話で補足したりしても、顔を見て話すのとでは違うのではないでしょうか。 もちろん僕はデザイナーではないので、ディテールについては会社に戻ってから詰めるとして、ここまでの方向性を確定させました。

ここまでクライアントと共通認識を持つことができれば、後々楽かなと思っています。
さらに方向性を詰めるのならば、提案資料を用意すればいいだけです。
最初に大まかな方向を定めて、徐々に絞って精度を上げていく。
その段階で、僕の場合はポジションマップを作ったりするんですが、今回は割愛します。
ある程度の段階までたどり着ければ、もはやデザインに落とし込むだけ。
終わりも見えてくるはずです。
と、毎回このくらいサクサク進んでくれるといいんですけどね。
どの案件でも流れ自体は変わりません。
それが広告であったとしても、イラスト制作であったとしても、クライアントの要望を満たしてかつユーザーに喜んでもらうことが最終目的なんです。
イライラせずに根気よくやるのが一番だと思いますよ。