新米ディレクターがプロに聞く! 趣味と商業の違いってなんだろう。

ついこの前まで事務だったり接客だったり…いろいろしていた新米ディレクターの鯖味噌です。憧れだった絵に関わる仕事に就いて、毎日が新しいことばかり。

当たり前ですが、皆さんとても絵がうまく、毎日感動しています。

でも、ふと考えたんです。絵が上手い人は世の中にいっぱいいると思うのですが、趣味と商業の境目ってなんなのだろうかと。
そこで今回は、イラストレーター棟田ウメコさんにいろいろとお話を聞いてみました。


まずは知ってもらわないと仕事はこない

鯖味噌: 本日はよろしくお願いします。棟田さんは、最近どんな分野のお仕事が多いんですか?

棟田:今は漫画がメインですね。あとはイラストやデザインのお仕事もやっています。フリーランスとしてお仕事を始めて、今年で3年目になりました。

鯖味噌:イラストだけでなく、いろいろやってらっしゃいますね。そんな棟田さんに、イラストレーターを目指す人の参考になるようなお話をお聞きできればと。

棟田:やはり、自分でお仕事をもらうということは難しいですよね。フリーランスは自分で仕事を見つけなくてはいけないので、そこが一番大変だと思います。「この会社と仕事がしたい!」と思っても、必ず仕事がもらえるわけではないですからね。

鯖味噌:その苦労って、実際にフリーランスをやってみて、初めて身に染みるらしいですよね。その点で努力していることってあるんでしょうか。

棟田:もう単純に、営業ですね。漫画家さんも、イラストレーターも、今はたくさんいらっしゃいます。だったら、まずは自分の存在を知ってもらわないと、仕事をオファーする候補に入らないんですよね。

鯖味噌:待ちの姿勢ではだめなのでしょうか?

棟田:例えば、フリーになる前に会社に入っていたり、同人活動を通してだったり、コネクションを構築してから独立したりしますと、お仕事をいただきやすいかもしれません。もちろん、それがあれば待っていても仕事がくることもありますけれど、ずっと食べていくためには新規の仕事は常に必要です。
世の中にはたくさんの漫画家やイラストレーターがいらっしゃって、今はそれがまた皆様上手いんです。だったら、自分からアピールしないと、なかなか新規の仕事をもらうのは難しいですよね。「この人じゃなきゃ描けない」というくらい、特別な絵が描ける方でしたらまた別だと思いますが。


信頼の積み重ねが仕事につながる

鯖味噌:確かに、絵を描く人はとても多くなっています。お仕事ではなく、趣味や同人で絵を描かれている方でも、本当に上手いんですよね。
棟田さんの主観で構わないのですが、商業と趣味って何が違うんですかね?

棟田:自分の好きに描けるわけではないということが、一番大きいと思いますね。商業の場合は、必ずお客さんがいます。最初に作品内容の指示があって、そこに合わせる必要があります。原作などがある場合は、特に細かい指示が入りますよね。
あと、自分のこだわりを捨てなければいけないこともあります。
同人だったら、そういうこだわりを突き詰めることができますが、商業の場合はそれがクライアントさんの要望と合致しないこともあります。あくまで、お客さんが求めるものを作ることが第一目標なんです。その先に、売り上げや、エンドユーザーの人たちがいる。
人気がある作家さんの場合はまた求められるものが変わってくると思いますが。エンドユーザーの方も作家さんの絵が見たくて興味を持ったりするので。

鯖味噌:自分の名前で、自分の色も出してやっていくのはなかなか難しいということでしょうか。

棟田: 「名前が出ないのは嫌」というのを、最初からやると…難しいのではないかなと思います。商業実績があることが新規案件につながることも多いので、たとえ名前の出ない仕事でも実績をつくっていくことが大切だと思います。信頼の積み重ねが、新しい仕事や出会いにつながるんですよね。

鯖味噌:作家さんって、特別な感じがしてしまうんですが、そのあたりはどんな仕事でも同じなんですね。

棟田: 他の仕事をしている人たちと同じだと思います。もちろん楽しんで描いていますが、楽しいだけではいけないのが絵のお仕事だと思います。


丁寧に仕事をすることは必ずお客さんにも伝わる

鯖味噌:踏み込んで実務的な話をしていきたいのですが、イラストレーターとして身に付けるべき技術は何だと思いますか?

棟田:技術とも少し違うかもしれませんが、丁寧に描くことでしょうか。ラフで大丈夫な画風や案件もありますが、同じラフでも丁寧に描いたものって伝わるんですよ。下手なのと雑なのは違うんですよね。どんな細かな案件でも、スケジュールがきつかったとしても、そこで手を抜くと後悔するのだと思います。

鯖味噌:わかります。ディレクターとして、イラストを受け取ることが多いので、丁寧に描いてもらえるとそれだけで嬉しいです。
ちなみに、棟田さんがお客さんから指摘をもらうことってなんだったりしますか?

棟田:一番はやはりデッサンについてですね。あと光の入れ方についても指摘されることがあります。
他には同じ案件で2枚のイラストを提出したとき、塗り方が違ってしまった部分があって、そこを合わせてほしいと言われたりですかね。

…でもやっぱり一番指摘されるのはデッサンです。

鯖味噌:客観的にみると、デッサンが気になることはありますからね。

棟田:自分が大丈夫だと思っていても、他人から見たらおかしいこともあります。特に、体のパーツの描き方など、自分の癖が出やすい部分に多いですよね。

鯖味噌:同人だとそれが「この人の絵柄」ということで、売りにもつながりますが、商業はまた違いますものね。私の絵も腕が長いとよく言われます(笑)。

棟田:そうそう、そういった癖が商業を経験することで直ったりしますね。


多くの人とつくっているという意識

鯖味噌:普段お仕事をするなかで、どんな心構えで臨んでいますか。

棟田:手は抜かないように、あと指示と納期を守る事ですかね。特に納期は本当に大切です。体調不良などでどうしても遅れてしまうときは、必ず前もって連絡するようにしています。

鯖味噌:ありがたいですね。遅れてしまうのは、いろんな事情があるので仕方ないと思うんです。でも、遅れるのってわかった時点で教えてもらえれば、こちらでも対策が立てられるんです。

棟田:それから、一緒に考えながら進めていく案件では、自分からも多く案を出せるように心がけています。

鯖味噌:それってすごく助かります。案件やお客さんによって、その提案が実現できるできないはありますが、「一緒に仕事をしている」って感じがして楽しいですし。

では最後に、イラストレーターを目指したい人に「これは大事にしてほしい」ということはありますか。

棟田:繰り返しになってしまうんですが、ホウレンソウ (報告・連絡・相談) と納期を大切にしてほしいです。納期遅れはほかの人に迷惑がかかるのでルーズなのはよくないと思います。 クライアントからの連絡にも、できる限り早くお返事するようにした方がいいですね。

仕事の作品は自分一人で作るものではないですからね。

鯖味噌:たくさんの人が関わっていますからね。そこも商業と趣味の違いですね。クライアントがいて、制作会社がいて、作家さんがいる。そこはディレクターとしても肝に銘じます。

本日はいろいろとお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

棟田ウメコ

2016年よりフリーランスの漫画家兼イラストレーターして活動。 現在は漫画をメインに制作。4コマ漫画、デフォルメイラストが得意。


鯖味噌

新人ディレクターの鯖味噌です。接客やソフトウェア開発会社の事務などをやっていましたが、20代後半で完全未経験のこの業種に転職しました。 初めての経験ばかりで目まぐるしい日々を過ごしています。 Youtubeを見ながらお酒を飲みつつ絵を描き猫をなでることが日々の楽しみです。

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